C. quadricolor (別名: C. chocoensis)
(var. alba x orlata)
撮影 1/07/2013
(var. alba x orlata)
撮影 1/07/2013
カトレヤ・クオッドリカラー (Var. alba x orlata)
(異名: C. chocoensis)
カトレヤ・クオッドリカラー(異名:チョコエンシス)は幅広のペタルを持つコロンビア産の大型カトレヤ
原種だ。ペダルに白、赤紅、黄色、紫の4色を持つことがクオッドリカラーの名前の由来である。
柔らかな色彩でややうつむき加減の花を付けるのが特徴だろうか。
この株はサンフランシスコ駐在時代、周辺蘭同好会のラン展を巡り歩いて入手した
メンバー愛培品の分け株だ。ただ不思議なのは日本に持ち帰ってからあまり印象がないことだった。
咲かせるのにてこずったのか、控えめな花の様子から印象が薄かったのかよくわからない。
今年の正月に一輪膨らみかけた蕾を確認したが、なかなか開花に至らない。待ちきれなくて
開花直前の姿を一枚撮ってみたのがこの写真だった。この時にはこの咲き方にこそ思いもかけぬエピソードが関係する
とはまだ考えてもいなかった。とにかくこの一枚の写真、結構風情があるように感じるが如何だろうか。
(実は元のラベルには名称が”C. chocoensis”(”チョコエンシス”)とある。10年ほど前には普通に通用して
いたこのラベル名こそ、とても面白い原種エピソードの出発点となるなんて本当に驚かされた。)
1/07/2013 記
原種だ。ペダルに白、赤紅、黄色、紫の4色を持つことがクオッドリカラーの名前の由来である。
柔らかな色彩でややうつむき加減の花を付けるのが特徴だろうか。
この株はサンフランシスコ駐在時代、周辺蘭同好会のラン展を巡り歩いて入手した
メンバー愛培品の分け株だ。ただ不思議なのは日本に持ち帰ってからあまり印象がないことだった。
咲かせるのにてこずったのか、控えめな花の様子から印象が薄かったのかよくわからない。
今年の正月に一輪膨らみかけた蕾を確認したが、なかなか開花に至らない。待ちきれなくて
開花直前の姿を一枚撮ってみたのがこの写真だった。この時にはこの咲き方にこそ思いもかけぬエピソードが関係する
とはまだ考えてもいなかった。とにかくこの一枚の写真、結構風情があるように感じるが如何だろうか。
(実は元のラベルには名称が”C. chocoensis”(”チョコエンシス”)とある。10年ほど前には普通に通用して
いたこのラベル名こそ、とても面白い原種エピソードの出発点となるなんて本当に驚かされた。)
1/07/2013 記
コロンビア産大型カトレア原種を巡る混乱
(C. quadricolorとC. chocoensisとC. trianaei)
いつの時代でも蘭原種の分類には混乱がつきまとう。最近もカトレヤ類の学名再分類が蘭愛好者を混乱の
極地に追い込んだ。植物の分類技術が進歩すれば名称もそれに併せて変化するのは当然
といえば当然だが、何十年と慣れ親しんだ呼び名が影形無く消えたり、大きく変化してしまったことに
戸惑いを隠せなかったのは事実だ。現に旧来の名称と最新名称の双方が渾然と市場に存在している。
実はこれと同じような混乱が1800年代の中頃から何と2011年まで延々と続いてきたというのが、
今回のエピソードである。コロンビア産の代表的大型カトレヤ原種であるC. quadricolorとC. chokoensisi、
それにC. trianaeiを巡る混乱である。何でC. chocoensiwsとして親しんでいたものが最近はC. quadricolorに
なったのだろう、とインターネットを繰ってみたのが驚きの出発点だった。良くご存知の方も多いのだろうが、
とにかく面白いエピソードには違いない。学名あるいは種名を巡るエピソードにはとても面白いものが
あって、ネット巡りの探索は止められないといったところである。’狂’が付くマニアは日本にも海外にも多い
だろうが、分類を巡るエピソードを掘り出すには英語を少ばかり使ってみるのがお奨めである。以下の情報も
そんな発掘の成果だが、きっかけは我が家で蕾を付けたカトレヤ鉢の古いラベル一枚である。
ラベルに従ってC. chocoensisを調べてみると、'chocoensis'とあるサイトと'quadricolor (別名 'chocoensis')
となっているサイトがあるのに気が付く。気になって'chocoennsis'のサイトを読んでみると'Choco'
とはそもそも分布地域の名前だということが分かった。となると、細かく分布地域を特定する必要があった
理由も知りたくなってくる。区別の必要があったから'chocoensis'という名称ができたのか、とは
見当付く。で、次なる疑問は、そもそも混乱の元となったカトレヤがあったのではないか、ということだ。
するとやっぱりありました。そもそものスタートは1848年にコロンビアから英国に紹介された原種カトレヤ
'C. quadricolor'だったようだ。当時蘭類の原種分類はスタートして間もない時期で、同じコロンビア産の
原種'C. trianaei'に良く似たこのカトレヤ株を正式に新種として認めることには結構躊躇があったようだ。
いずれもコロンビア産である二つが、花、開花時期、生育状況のいずれでも良く似ていたことが
長く尾を引いた混乱の基だったと思われる。ただし、'quadricolor'は'trianaei'に較べ花型がベル型で
半開ないし完全開花しない傾向があるという認識もあったため、中途半端な状況が続くことになった。
1873年には'C. quadricolor'に似ているがChoco地方に分布するということで新たに欧州に紹介された
'C. chocoensis'が注目を受け、次第に'C. quadricolor'の名称は一掃されていく。一方、'trianaei'
との類似性は尾を引き、'C. chocoensis'は'C. trianaei'の変種であるという見方が有力になっていった。
'C. trianaei'との類似性はいろいろ言われたようだが主なものとして次のようなことが指摘
されていたようである。これをみると両者が密接な関係にあり、要は変種に過ぎないという見方には
無理が無いようにも思われる。
トリアネイとの類似点: ・いずれもコロンビアを原産地とする大型カトレヤ原種であること
トリアネイとの類似点: ・いずれもコロンビアを原産地とする大型カトレヤ原種であること
・同じような色彩を有すること
・開花時期が同じこと
・生育状況が同じこと
・開花時期の前に数ヶ月の休眠期があること
・開花時期が同じこと
・生育状況が同じこと
・開花時期の前に数ヶ月の休眠期があること
・カトレヤ原種の中でも両者は幅広のペタルを有すること
・開花期間がいずれも極長いこと
1898年ごろになると'C. quadricolor'と'C. chocoensis'の再議論が浮上、その結果両者が同一である
ことが確認されたようであるが、'quadricolor'の名称が復活することはなく、'C. chocoensis'の名前
だけが残った。20世紀に入っても'C. chocoensisi'の交配種に'quadricolor'の名称が使われることは
なかったのである。この事実が認識され、交配親として'C. quadricolor'として認識されるように
なったのは実に2010年中頃のことであった、という。
・開花期間がいずれも極長いこと
1898年ごろになると'C. quadricolor'と'C. chocoensis'の再議論が浮上、その結果両者が同一である
ことが確認されたようであるが、'quadricolor'の名称が復活することはなく、'C. chocoensis'の名前
だけが残った。20世紀に入っても'C. chocoensisi'の交配種に'quadricolor'の名称が使われることは
なかったのである。この事実が認識され、交配親として'C. quadricolor'として認識されるように
なったのは実に2010年中頃のことであった、という。
'C. quadricolor'が認識されたのは'trianaei'と'quadricolor'の相違点が再検討されるようになり、両者は
良く似ているものの無視できない相違点がいろいろ明らかになってきたためである。
トリアネイとの相違点 ・両者はコロンビアでも違った地域に分布すること
・全ての'quadricolor'はベル型の花型を有するが、'Trianaei'は
必ずしもそうとは限らないこと
・'quadricolor'はかなり強い芳香を持つが、'trianaei'はずっと弱いこと
・'quadricolor'の生育場所が'torianaei'とは異なること。'quadricolor'
の生育場所は平地、特に水浸地区や年中湿度の高い地区が特徴的
であること
・結果として'quadricolor'はトリアネイより高湿度の環境で良く生育すること
これらの特徴がはっきりしてきたことにより、'trianaei' と'quaricolor'は極めて良く似たところはあるものの
別個の原種とすることが妥当、という結論に達したのはそう古いことではない。この間,幅広いペタルや
長期開花期間を持つ'quadricolor'は有力な交配親として使われてきたが、交配親名としては忘れられた
'quadricolor'に代わって'chocoensis'が使われ続けるのが普通であった。この矛盾が認識され、先発名称
これらの特徴がはっきりしてきたことにより、'trianaei' と'quaricolor'は極めて良く似たところはあるものの
別個の原種とすることが妥当、という結論に達したのはそう古いことではない。この間,幅広いペタルや
長期開花期間を持つ'quadricolor'は有力な交配親として使われてきたが、交配親名としては忘れられた
'quadricolor'に代わって'chocoensis'が使われ続けるのが普通であった。この矛盾が認識され、先発名称
だった'quadricolor'に置き換えることが同意されたのも2011年カトレヤ分類変更の一つであった。
1/07/2013 記
C. quadricolor栽培の特徴
C. quadricolor (= C.chocoensis)のエピソード披露に併せて、栽培の特徴もいろいろ勉強させてもらった。
ブログの初めに、なかなか開花しないのでしびれを切らして開花寸前の写真を撮ったと記したが、まさに
これこそが本種の特徴の一つだと納得した。栽培方法には特に難しいことは無いようである。
C. trianaeiに良く似たカトレヤ原種でありながら、生育場所が湿度が高い地区で、あることは
重要な手がかりだろう。普通のカトレヤ、あるいはカトレヤ原種に較べると生育中に空中湿度の高い
環境が良好であろうことも理解できる。作りにくいかもしれないと感じていたのはここに理由があった
ようである。
大型のカトレヤ原種としては栽培容易。特に湿潤な植え込み材料に強く、根ぐされに強いという特性
も納得できる。ただし極端な水浸しは根を痛める。カリフォルニアでの栽培例で言うと、2月から3月初め
にかけて生育開始し、初夏までに生育を完了する。第一次生育が完了すると第二次生育を始めることが
多いという。次のバルブが伸びるということだろうか。その後10月末頃まで休眠して、その間にシースの
中で蕾を付け始める。開花は12月中旬頃。カトレヤ・トリアネイの早咲き株より前の開花となる。
生育期間中の光線、風、水は重要で、湿度の高いメディアムでの栽培に強いことは既に述べた。
生育期には大量の水を遣っても大丈夫である。花後、バルブ基部に発根が見られたら植替えの
適期、とある。 1/07/2013 記
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